りりらぼ

Noteのようなもの。教育、保育、遊び、学び、問い、哲学…それぞれが絡んでいる日々を綴ります。 Education, childcare, play, learning, questions, philosophy … Spell out the days that each is involved.

SEEQS Reportより

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SEEQS

 

Lily「目指すカタチに似てる?」

なんか面白そうだなぁと思いつつ、プロジェクトの独立性はどうなのかな?

3つテーマから選択ということがあるように入り口になるベースワークになるプロジェクトはある。

そこからひろげたい、深めたい!って思った時はどんなルートがあって、サポートしてくれるのかな?

気になるところ。

とはいえ、ここは基礎学習が時間として決まっているところ明確に見えるし印象的。

こういうのみてると、やっぱり現地に学びにいきたいんだよなぁ。

システムはもちろん大切だけど、思いをもって集まってきている人たちって、やっぱり空気感あるだよね。

そこで起こることや生まれる対話を感じたい。

それを自分として表現したいんだよね

 

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こたえのない学校HPより

サステイナビリティーに対する本質的な問いに向かう公立学校―SEEQS | こたえのない学校

 

SEEQSとは

「サステイナビリティー」という言葉は聞くことが増えてきたかもしれませんが、国連などで使われている定義では「将来世代のニーズを損なうことなく、現代世代のニーズを満たす発展」となります。環境問題として捉えられることが多いかとも多いかと思いますが、人間の社会経済システムの持続可能性もスコープに入ってきており、大きく捉えると人権問題や貧富の格差、平和問題なども含まれてきます。SDGs(持続可能な開発目標)とほぼ同義に捉えても、問題ないかと思います。SEEQSは▶︎チャータースクールという仕組みを利用しており、チャーターという独自の学校計画が認められれば政府から資金提供を受けられるため、公立校の扱いで子どもたちは無償で学校に通うことができます。ハワイには現在30のチャータースクールがあり、全生徒の5%程度、1万人から15,000人程度の生徒が通っているそうです。過去お伝えしたHigh Tech High、New Schoolもチャータースクールです。

 この学校は、Buffy Cushman-Patzという女性が7年前に設立しました。もともとサイエンスの教師ですが、ハーバードの教育大学院のリーダーシップコース在学中にSEEQsのアイディアを温め、チャーターを提出し6人の仲間と一緒に学校を立ち上げました。地元の高校の校舎の一部を借りて運営しています。

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▶︎チャータースクールとは

チャーター・スクール - Wikipedia
チャーター・スクール (charter school) は、アメリカ合衆国で1990年代から増えつつある新しい学校の試みで、チャーター (charter) と呼ばれる特別認可、あるいは達成目標契約により認可された、初等教育もしくは中等教育レベルの学校である[1][2]。

チャーター・スクールは新しいタイプの公立校という説明の仕方がされることもあるが、正しくは公募型研究開発校という方が分かりやすい。保護者、地域住民、教師、市民活動家などが、その地域で新しいタイプの学校の設立を希望し、その運営のための教員やスタッフを集め、その学校の特徴や設立数年後の到達目標を定めて設立の申請を行う。認可された場合、公的な資金の援助を受けて学校が設立される。運営は設立申請を行った民間のグループが担当する。その意味では、公設民間運営校である。ただし、所定の年限の内に目標の達成や就学児童が集まらない事態に陥った時には学校は閉校になり、その場合の負債は運営者たちが負うことになる。

 

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【サステイナビリティーを中心としたカリキュラム】
 

この学校は”The School for Examining Essential Questions of Sustainability”となっており、「サステイナビリティーに対する本質的な問いに向かう学校」と定義されています。

Essential Questions of Sustainability(EQS)という問いを中心にした探究によって、地球に貢献し、積極的に責任を持つ健康な子どもたちを育成します。ちなみに学校名のSEEQSは、”School for Examining Questions of Sustainability”の頭文字をとったものになります。

学校自体のアイディアもコミュニティという土壌に、「学び」という種を植え付け、そこにサステイナビリティーをテーマとしたEQSの様々なプロジェクトに積極的に関わることで、子どもたちが自らも葉をつけ、幹を育て、大きな木として成長していく、というイメージを持っています。

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【EQS-サステイナビリティプロジェクト】

対象年齢は、日本でいう6年生、中学1−2年生です。学生数は3学年で190名。先生は14名。全体のカリキュラムはこの後で説明しますが、EQSの探究単元は、3学年が混じり合って年間を通じて一テーマを探究します。テーマは3つあり、生徒は学年始まりの3週間でどのテーマのグループに入るかを決めます。今年のテーマは「水」「選択(CHOICE)」「食物と自立」です。水曜日を除いた毎日二時間が割り当てられており、地域と連携したり、学校外へ出ていくこともとても多いそうです。

いったんチームが決まると3ヶ月間程度はグループのみんなで先生がある程度リードするかたちで協働のプロジェクトを行い、12月に発表をし、1月から6月までの後半は自分がやりたいテーマを決めて個人でプロジェクトを行います(お友達と進めても構いません)訪問した今の時期は、ちょうど協働のプロジェクトの期間でした。だいたい1ユニット30名前後で進めており、チームティーチングを行っています。1ユニットにつく教師の数は3名、うち1名は特別支援担当の先生がついています。

 

プロジェクト1:水の探究
このチームではオアフ島の分水界や流域をテーマに学習しており、どのようにして水が生まれ、流れていき、地域ごとに特性があってそれらに対して私たちは何ができるのか?ということを学んでいました。プランターを使って、植物の保水や水の流れをどのようにコントロールするかを学んだり、オアフ島の分水界を実際度々見にいくほか、汚れてしまった近くの川を綺麗にするプロジェクトを2年しており、外来種をとって、在来種を増やそうとしていました。でも、雑草は根まで取らないと結局また生えてきます。とてもハードな作業なのですが、自分で決めたプロジェクトだからでしょうか。生き生きと楽しそうに取り組んでいるのが印象的でした。

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プロジェクト2:食べ物と自立
こちらのチームは、「私たちはどのように食べ物と自立に寄与できるか?」をテーマにプロジェクトを行なっていました。もともとハワイは完全に食料自給が行われていましたが、町が大きくなり、産業が発達するにつれて、食料を自分たちで賄うことができなくなり、いまは8割の食料を輸入など外部から頼っています。この日は、チームに分かれて、「もしいま全ての外からの食料がストップされたら、どうするか?」をロールプレイで発表する検討を行っていました。

 

プロジェクト3:わたしたちの選択
こちらのチームは、「私たちの選択がどのようにコミュニティに影響するか?」という問いでプロジェクトを進めていました。この日は、Downshifting Spot。ゆっくりできる場所を学校に作ろうということで、それぞれの計画を考え、投票し、いつどのように進めるかを哲学対話形式で進めていました。マインドフルネスの時間なども取り入れられています。

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【アセスメント・評価】
 

SEEQSの哲学とコアとなる指針は下記の5つです。

 

1. 現実の設定と文脈の中で実現するリアルな学び

2. 自分の学びに主導権を持つ時にはじめて(真正な)学びは実現する

3. 全ての人は教え手であると共に学び手である

4. 学びの環境は、コミュニティの人たち、文化価値、物理的条件によってできている

5. 組織の改善はコミュニティの人たちが関わることで実現する

 

そして、この学校には、先生やスタッフが持つべき、そして子どもたちが育むべき5つのサステイナビリティスキルが設定されています。

 

1  分析的な推論 (エビデンスや論理に従って判断すること)

2  マネジメントスキル (大きなタスクであっても、フォーカスを定めやりきる)

3  パワフルなコミュニケーション(相手に伝わるコミュニケーション)

4  生産的な協働力(チームとして共通のゴールに向かう)

5  システム思考(パターンを見つけ、繋げ、解決をデザインする)

 

SEEQSは、チャータースクールとはいえども公立ですので、Common Coreという国の学習指導要領のようなものに準拠し、学力テストみたいなものも受けなければいけません。ただ、それとは別にそれぞれのプロジェクトの発表内容や、生徒が主導して行うカンファレンス(Student-led Conference)、自らその年の目標を設定し、どこまで到達したかを教師と話し合うような時間があります。また、大きいのが、最終学年の8年生で大学院の学位審査会(Defense)のようなものがあることです。ここで全ての生徒は自分がこの学校でやってきたことを総括し、上述の5つのサステイナビリティスキルがどれだけ達成できたかをプレゼンテーションします。当然差し戻しもある厳しいものだそうです。

 

【基礎学習・その他】
 

上述のプロジェクト学習の単元は、午後の最後の二時間が当てられていますが、それ以外に、当然「国語」「数学」「理科」「社会」「芸術」という単元はあります。また、「アドバイザリー」というものがあって、入学すると子どもたちは、必ずどこかのアドバイザリーグループに入ります。ハリーポッターで「グリフィンドール」のような寮のチームがありますが、仕組みが少しに似ていて、6年生から8年生まで混合で、三年間同じアドバイザリーで過ごします。1グループに12名いて、同じ先生がずっとついて、毎年新しい友達を迎え入れ、卒業者を送り出します。

毎朝、授業が始まる前に一時間弱のゆったりした時間が組まれており、遊びを中心に過ごしますが、週に2日は、アドバイザリーで過ごすことになり、水曜日の午後には75分をかけて、アドバイザリーグループで集まってじっくり話し合ったり、SEL(社会的情動的学習)のツールを使って、友達の間の問題解決や、個人の問題などを話しあいます。

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