Part.1 こどもが本来持っている力を伸ばそう
ー聞いて、考えて、話すための環境づくりー
▶︎現代の社会に必要な能力とは、思考力とコミュニケーション力、とくに対話する力や議論する力
→思考力と対話する力を育てる方法として「こども哲学」。他人と合理的に議論する力、自律的に考える力を養う。
#6 ひとの話に耳を傾けられるようになろう
▶︎周囲と一緒にはじめる
・どのように実践すれば良いか。
・こども哲学の第一に重要な特徴「探求の共同体(community of practice)」という対話集団を形成すること。
▶︎相手の話を聞きたいという気持ちをもつ。
・探求の共同メンバーは異なった視点(差異)を持って共同の探求に奉仕する。
・差異こそが新しい経験の源であり、思考を触発するもの。
▶︎まずはしっかり黙って聞く
・セイフティ(安心)=自分の発言をしたいことを素直に話すことのできる状態。
・こども哲学では質問することも大切だが、それ以前に聞くことが重要。
▶︎プロセスを大切に
・価値は探求のプロセスそのもの。
・哲学の探求はオープンエンド。
・したがって、こどもが学ぶべきは、現在「真理」とされている「知識」を超え出て、さらに探求する姿勢である。
▶︎問いを自分でたてる
・大人や教師が考えさせたがっている問いを与えると、大人の求めている正解を探ろうとする。
・問いをたてることはもっとも重要な知的活動。
・現実は複雑。問題の定まっていないオープンな始まりから、結論の完結しないオープンに終わる。
▶︎まとめのない終わり方でOK
Part.2 子どもの対話する力を育てよう
#1 リラックスできる環境づくりから
▶︎哲学対話に絶対の方法はない
▶︎どのように場所をつくるか
・対話の質は、その教室の雰囲気づくりの時点で決まってしまう部分がある。
・丸くなる=平等を意味する。ファシリテーターも同じ輪に入る・
▶︎ゆっくりとうごく
・ゆっくり話すこと、ゆっくり進行すること。
・時間を急かすことは対話を疎外する。よいアイデアは忙しすぎる時間からは生まれない。
・探求は、すべてのメンバーが手順や進行状況を理解しているかをつねに確認しながら行う。
・考えている時間を待ってあげること、発言するのに言葉選んでいるときにも待ってあげること、みんなで沈思黙考する時間を大切にすること。
→もっとも自己表現しやすい環境は何であるかを探って環境づくりをする。
#2テーマとルールの決め方
▶︎哲学対話の過程
(0)哲学対話の説明
(1)テキストを読む
(2)テーマと問題を決める
(3)探求的な対話をする
(4)対話を振り返り、吟味する
#3子どもから言葉が出ないときどうするか
▶︎あわてない
▶︎大人の態度
①ゆっくりと子どもの反応を待つ。
②自分が間違ったりわからなかったりすることを表現する。
③子どもと一緒に探求する。
④議論を進め、思考を深める質問やコメントする。
⑤こどもの思考を批判的で、創造的で、ケア的になっているかに注意する。
#4 つづけるための声のかけかた
▶︎時間の割り振りかた
・小中高の実践では3回を一まとまりとして、1つのテーマについて話しあう。
・授業の内容を無理にまとめるのではなく、「対話を振り返る」ことメタダイアローグで振り返ることで締めくくる。
#5 自由に話が進むことをおそれない
・探求の共同体では、自分自身の考えに対して批判的にならなくてはならない。
・規範として存在するのは、相互尊重だけ。
▶︎視点を変えられるようにする。
・ファシリテーターの役割はセイフティを回復させ、多様な意見や質問を促すこと。
・その場に欠けていると思われる立場や視点をそれぞれの視点や立場から質問していく。
#6 次につながる評価の仕方
・評価は私たちの自己改善において重要なきっかけです。
・批判的思考については、リチャードポールの評価ルーブリックがよく知られている。
(基本の4側面)
①明確さ
②正確さ
③関連性
④詳細さ
⑤公平さ
⑥幅広さ
⑦重要性
⑧理論生
⑨深さ
▶︎対話の感想をチェックしてみよう
・文章に批判的思考、創造的思考、ケア的思考の要素がどれだけ含まれているかみて評価。
▶︎評価のポイント
・参加度、協力
#7科目ごとに取り入れてみよう
・哲学対話の最大の特徴は、ある科目に関わるテーマについて話はじめても、他の科目や分野と関連してきてしまうことです。
それらのどうしても関連してしまう話をうまく整理しながら、しかし同時に、関連性を失わないように議論するのが哲学です。
▶︎生活のなかに教科の芽はひそんでいる
「そもそもフィクションとはなにか」
「歴史をなぜ残そうとするか」
「数学はなんの役に立つのか」
「科学は人間の生活を幸福にするのか」
「なぜスポーツにはルールがあるのか」
「法律はどこまで必要か」
・各学科の基盤をなすもっとも単純であり、かつもっとも深い問いです。そもそも、その学問や知識が何のために学ぶのか考えたことも反省したこともない。批判的な思考をしないままに子どもを成長させることになる。